うまあんてな: 川崎記念 2017 出走予定馬・プレ予想：ミツバ、馬の不器用さを補う鞍上横山典弘のマジックに注目…

2017　2/1(水)
第66回　川崎記念(JpnI)　川崎ダ2100ｍ
枠順確定・出走予定馬
川崎記念2017の枠順確定・出走予定馬

　２人のマジシャンが川崎2100でどう進めるかが今回の面白さ…マジシャン横山典弘とのコンビで開眼したミツバが強敵犇めく川崎記念に出走予定だ。ブラジルＣでは驚きの大逃げ、前走のベテルギウスステークスでは正攻法から動いて押し切っての完勝、この成長ぶりには競馬ファンも驚きの方が大きかっただろうと推察する。この人馬がどこで動くのかが今回の焦点…王者を喰う波乱を呼ぶ走りを見せられるか。

　このレースは動くポイントが非常に難しい。一つはコーナーごとに減速、ここで動いていくのが急コーナーで難しい。となると必然的に動くのは向こう正面で２角過ぎに入ってからは前も一気に引き上げるのでここで捲るのはなかなか簡単ではない、と。この馬の場合枠の並び的に逃げるのは恐らく難しい条件だと思うが、仮に途中で先頭を奪うのであれば１周目のスタンド前になるかなと思う。ここで武豊ケイティブレイブがレースを作る中で勝負をかけることができるか、個人的にはそこに注目してみておきたい。ノリなら何かやってくる…そういう予感はしている。

●ブラジルカップ(OP)　１着　16頭８枠16番
東京ダ2100ｍ良　2:08.9　59.8-63.2　H^3
7.2 - 11.0 - 11.7 - 11.9 - 12.0 - 11.9 - 12.0 - 12.5 - 12.5 - 12.9 - 13.3

　まずは府中の杜を震撼させたといっていいブラジルカップの圧倒的な大逃げから。ペースバランスを見ても超ハイペースでラップ推移的にも淀みがまったくない消耗戦を刻み切った。大外枠ということもあってゲートはそれなりに出たという程度だが一気に行き切って奇襲策の逃げの手を打つ。そこからペースを緩めるかと思いきやここからが横山典弘の真骨頂、淡々と緩めずに12秒前後のラップを刻み続けて大逃げの競馬に持ち込む。３~４角で流石に少し減速ラップを踏んでいるがそれでも極端ではなく後続を寄せ付けないまま直線。そこからも踏ん張ってＬ１で流石に少し差は詰まったもののセーフティ、完勝だった。もちろんこの出方は他も想定していなかっただろうが、恵まれただけでは2:08.9という好時計はなかなか叩きだせない。2100をハロン12に近い流れでペースを作っても押し切れる基礎スピードの高さ、後半も大きく落とさないポテンシャル面も含めて非凡であることを証明したと。

●ベテルギウスＳ(OP)　１着　10頭１枠１番
阪神ダ2000ｍ良　2:03.6　61.3-62.3　H^1
13.1 - 11.7 - 11.2 - 12.9 - 12.4 - 12.7 - 12.5 - 12.5 - 12.0 - 12.6

　一方で前走のベテルギウスＳは正攻法の競馬になった。というのも最内枠で出が良い馬では本来ないので前走の逃げ自体が大外枠だからこそできる奇襲戦法でもあった。ペースはややハイ、ラップ推移的にも道中の淀みは小さい方で阪神2000にしてはロンスパというよりは全体が流れてのＬ２最速と仕掛けが遅かったなという感じ。まずまずのスタートを切ったが流石に行き脚でそこまで強気になれず、下げて少し掛かりながら後方にという形。そこから向こう正面でじわっと外目から取り付いていきつつ３角までには団子状態の中団外。そこからじわっと仕掛けて４角では３頭分外から先頭列に並びかけて直線。序盤で楽な手ごたえで追い出されてから抜け出す。Ｌ１でも後続を寄せ付けずにきっちりと完封した。オリオンザシャインはブラジルＣと同じ相手だしドコフクカゼも馬体増が目立ったのでレベル的には何ともだが、正攻法の形で結果を出してきたし、これまでの後方特化に拘る必要がなくなったのは大きいかなと。

●シリウスＳ(GIII)　４着　11頭８枠11番
阪神ダ2000ｍ稍　2:02.1(+0.4)　61.5-61.2 M
12.6 - 11.3 - 11.4 - 12.9 - 12.3 - 12.5 - 12.3 - 12.1 - 11.8 - 12.5

　３走前のシリウスＳでは結果的にアポロケンタッキーらに完敗を喫した。ただこの時点では前半無理をしなかったし、そのうえでペースも平均だったということを考えると前に残られたのもある程度仕方ないともいえる。外枠から五分のスタートも少し接触もあったし控える形で後方で。道中も阪神2000にしては比較的淡々と進む中で３～４角では大外を押し上げながら直線に入ってくる。ただ前もＬ２で最速を刻むレベル、ここで差が詰まってこないし、Ｌ１も12.5と踏ん張っている中でこの馬自身のバテ差しもそれなりに魅せてきているものの流石に止まらず４着まで。上がり最速で一頭だけ35秒台、３～４角のロスを考えても苦しかったし、前がこのラップで後半をまとめてきているわけなので、ここ２走を考えてももうちょっと前半で流れに乗る必要があったというところだろう。

●2017川崎記念に向けての展望

　タイプ的には出し切って良いタイプではあると思うが、それでも前走のベテルギウスＳでも外からしっかりと動いて要所で楽な手ごたえからしっかりと伸びていたし、このクラスではともかくある程度加速戦に対応してくる可能性はあるかなと。ただ、結局出し切って良さが出るわけなので川崎で戦うとなるとなかなか難しい面はある。少なくとも２周目の向こう正面の段階で後ろからとなるとなかなかケイティブレイブを差すのは難しいだろうし、質的な面でも高いレベルのモノを持っているサウンドトゥルーを捕えるというところまでは難しいだろうと。逃げられればいいがこの枠の並びだとすぐにケイティブレイブ、オールブラッシュが内に入ってくることを考えると、二の足が速くないこの馬でハナを取り切るのは難しい。…普通なら難しい一戦だが、ここで興味深いのはノリがどこで動くか。向こう正面からでは前の馬もペースを上げるので押し上げるのも難しい、かといって最初からハナを狙うのは難しい。１周目のスタンド前までに外に出してそこから動く…という選択肢はあるかもしれないなと。ブラジルＣでも奇襲を打ったが、今回も奇襲戦法を繰り出せる立場にはあると思う。ペースが上がっても良いしポテンシャルが高いのならやはり基本的には早めに動いて勝負していきたいところ。Ｌ４が速くなりやすいが底よりもさらにワンテンポ速い仕掛けで常識外の競馬をしてくれば競馬を見るという点では面白いかなと。ファンとしてノリマジックに期待しつつも馬のタイプ的には器用さはないのでその辺りで川崎を考えれば相手関係含めて楽ではない、というのが今の評価。