2017年3月6日月曜日

とにかく強い競馬だったソウルスターリング【チューリップ賞回顧】

こんばんは。早速先週のレース回顧を始めよう。まずは土曜のチューリップ賞だね。

ソウルスターリングは、もう強い馬が強い競馬をしたとしか言えない内容だったね。前半のペースはかなり速いものの、上がり3Fのタイムはそこまで落ちてないから、全体としては平均ペースの瞬発力勝負と見ていいと思う。久々のせいか序盤はハミを噛んでいるんだけど、ルメールが上手いことなだめてジッーっと脚を溜められているし、4コーナーから直線を向いた時はすでに絶好のポジション。あとは悠々と追い出して後続を完封してしまった。追い切り診断でも一番評価していたけど、レースが終わった今でもそのジャッジは変わらない。距離が伸びるオークスはともかくとして、桜花賞まではこの馬が主役だね。

ミスパンテールは、四位がトライアルらしい競馬に徹して見事に権利をゲットしたね。前半はソロっと出して折り合いに専念し、直線でもギリギリまで仕掛けを我慢する落ち着いた立ち回り。最後はソウルスターリング以上の決め手を使ってリスグラシューを交わしてくれた。トビがきれいな上に体全体を使っていいフォームで走る馬だから期待していたんだけど、求めていた以上の成果を出してくれたよ。今回の四位は馬に競馬を教えることに専念していた感じで、次の桜花賞でどんな競馬をするかは興味深いところ。もし僕が乗るんだったら、ソウルスターリングの直後につけて、前を目標にスパートする作戦を取るだろうな。実際に上がり3Fの時計だけ見ればこの馬が勝っているわけだしね。なんにせよ今後が楽しみだよ。

リスグラシューは、先に結論を言ってしまうと、この馬はたぶん左回りのほうがいいタイプだと思う。追い切り診断でも「右前脚が少し外側に開く」点がポイントだと書いたけど、今回も直線で左手前になってから少し浮くような走りになってしまっている。その分最後は思ったほど伸びなかったんだろう。豊とのコンタクトや道中のレースぶりは問題なかったから、逆に言えばこの敗戦を気に病む必要はないかもしれない。桜花賞自体は同じ舞台でも、その後にはオークスが控えているし、その先も狙えるレースは色々あるからね。ただ、距離をこなせるかどうかはまた別問題だから、それはそれで考えないといけない課題ではあるんだけど。

ミリッサは、道中ハミを噛んでいたせいもあるけど、手応えのわりに直線で伸びきれなかったのは不満かな。中盤はソウルスターリングを前に見ながら運べているし、最後の進路取りもほぼ問題はなかった。ま、今回は完敗といったところだね。追い切りの動きもまだ全体的にひ弱な印象だし、力が付ききっていないということだと思う。別にこの敗戦で「底が割れた」と思う必要はなくて、要するにここからの成長次第だろう。

カワキタエンカは、この馬なりに力は出し切った競馬。重賞のメンツを相手にあのペースを前で先行して、これだけの粘りを見せるんだから内容は悪くないよ。今回は上位陣に敵わなかったけど、自己条件に戻れば全然やれるでしょう。僕が見たところ少し気性が前向きすぎるきらいはあるから、できればムダにレースを使わずに、馬の調子に合わせてローテーションを組んでほしいとは思うな。


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