2017 5/21(日)
第78回 優駿牝馬(オークス) (GI) 東京芝2400ｍ
予想用・出走予定馬一覧
昨年夏に勝ち上がりながらもそこから長期休養、ぶっつけで挑んだチューリップ賞で２着と台頭を果たしたミスパンテールがオークスに出走予定だ。ただ本番の桜花賞ではその反動が出たのか、それとも道悪か、ペースが合わなかったか、いずれにせよブービー負けと大敗を喫した。汚名返上の機会は府中の2400ｍ戦牝馬クラシック２冠目、長い直線で末脚を引き出し切って活路を拓け。
まあ前走の負けに関しては個人的にはそんなに悲観はしていない。そもそも新馬、チューリップ賞の内容からもゆったり入ってこそだろうと思っていたし、馬場が立糞赤で勝負に行くポジショニングになった段階で苦しかった。トップスピードに乗ってからの持続力が良い馬だし、最速地点でも結構切れるのが魅力。2400の府中ならひとまず前半で脚を使わされるほど大きく流れないだろうし、チューリップ賞で最低ラインはクリアしている。動き出しの良さは未知数だが、少なくとも良馬場に近い状況ならある程度計算できる馬だとみている。
●新馬戦 １着 ９頭８枠９番
札幌芝1500ｍ良 1:32.9 51.9-47.4 S^4
7.2 - 12.5 - 12.5 - 13.3 - 12.7 - 11.8 - 11.5 - 11.4
順番に新馬戦から振り返っていきたい。札幌1500ｍはコーナー３つのトリッキーなコース、ペースは超超スローで新馬戦らしい緩い流れ。３Ｆ勝負でＬ１が最速ラップとなっている。後半の末脚勝負とみてまず間違いない。
９番枠から出負けして二の足も遅くてという感じで後方からのスタート。道中は後方馬群の中に入れて折合を意識しつつ３角。３～４角でも外々からじわっと促しつつ後方外、４角で本仕掛け、動かしながら中団で直線。序盤ではまだジリジリという感じだったがＬ１でグンと来て楽に突き抜けての完勝だった。
最後は流していたこと、Ｌ１が11.4の地点で３馬身近い差があったことを考えると10秒台の脚を使ってきたことはまず評価できると。もちろんドスローなわけなのでこれをペースが上がって使えるかどうか？そして自身でＬ１最速ラップなのでここからどこまで維持できるかどうかというのは一つ課題としてはあった。ただ、この時点でも面白い競馬はしていたといえる。
●チューリップ賞(GIII) ２着 12頭６枠７番
阪神芝外1600ｍ良 1:33.5(+0.3) 46.4-46.8 M
12.4 - 10.7 - 11.1 - 12.2 - 12.2 - 11.4 - 11.3 - 11.9
２走前のチューリップ賞では半年以上の休養明けとなったがしっかりと不安を払拭して鋭く末脚を引き出してきた。ペースは0.4で平均ペース、ラップ推移的にはＬ２最速11.3とある程度は速いラップを問われている。まあこの馬の位置でならかなりのスローバランスで進められているのでその点では桜花賞とは違う状況だったといえる。
７番枠から五分のスタート、そこからはあまり無理はせずに控えながら後方で進めていく。前がある程度は飛ばしていくという中で後方でリスグラシューを見る位置で進めて３角。３～４角でも後方馬群の中目で進めてリスグラシューの動きを内で進めながら直線。序盤でそこから進路を外に持ち出すが動き出しは少し鈍くリスグラシューにも少し離される。しかしＬ１でのバテ差しは急、しっかりと伸び切ってリスグラを楽に交わして２着を確保した。
トップスピードに乗ってからの持続力はリスグラシューを上回ってきたなという感じ。もちろんこちらは長期休養明けとはいえほぼメイチだろうし相手はオークスまで見据えていたこともあるので何とも言い難いが、それでもリスグラシューにロスがあったにせよＬ１の伸びは圧倒していた。ただソウルスターリングには完敗というのは事実だし、Ｌ２の地点での切れ味はそこまで引き出せなかった。またもう一つ、やはりちょっと動き出しが鈍かったかなと。この辺りをオークスに向けてはクリアしてほしいところかな。
●桜花賞(GI) 16着 17頭８枠16番
阪神芝外1600ｍ稍 1:36.8(+2.3) 46.5-48.0 H^1
12.7 - 10.9 - 11.1 - 11.8 - 11.8 - 11.5 - 11.9 - 12.8
ただ前走の桜花賞ではそもそもその末脚を引き出す余力を与えられなかった可能性が高い。もちろん２走ボケの可能性もあるし、馬場が純粋に合わなかった可能性もあるが。稍重だが時計は結構掛かっていて、ペースバランスも1.5とハイペース、Ｌ３最速で淀みなくと息を入れるタイミングもなかった。パワー型の基礎スピードが無いとついていくだけでも脚を削がれてしまうという状況。ここでこれまで露呈しなかった厳しい流れでの基礎スピード面の不安が出てしまったかなという見立て。
16番枠から五分には出たかなという感じ。そこからはある程度ポジションを取っていきつつ、少し掛かり気味な感じで中団外。３～４角でも中団外々から手が動いているのだが反応なく後方に下がって直線。序盤でそこからの伸びもなく最後方近くに置かれる。Ｌ１まで良いところなくのブービー負けだった。
まあ馬場も良くなかったとは思うが、全体のペースが速かった中で追走してしまったことで本来持っている後半の末脚を無くしてしまったと考えるのが今の時点では妥当だろうと思う。チューリップ賞も平均では流れていたとはいえコーナーでは12秒台に入るほどには緩んでいたし、この馬自身３Ｆずつだが36.3-33.7と超後傾で走り切っている。それが桜花賞では36.4-37.4と前掲ラップとなってしまっている。詰まり後半失速しているわけで、前半の36.4はこの馬場ではしんどかったと考える方が良いだろう。馬場もあるとは思っているが、全体のペースバランス的に無理があったと思うし、しかも中間終始11秒台。そういう中でああいう競馬ではというところ。逆に言えばオークスでゆったり入れる条件は歓迎出来そうではあると。
●2017オークスに向けての展望
まずは桜花賞とチューリップ賞の比較で見た時に、チューリップ賞の方が前半をゆったり入れたうえで後半のトップスピードの持続力を高いレベルで問われた。ここを考えればオークス向きなのはチューリップ賞の競馬で、そこで２着と結果を出してきたのは個人的には評価したい。ただそうなると前目からスッと動いてＬ１も詰めさせてくれなかったソウルスターリングとの差はひとまずそれなりにある、と考える必要がある。それと、チューリップ賞ではもちろんリスグラシューの外に出してからの競馬になっている分、多少伸び始めが遅くなるのは仕方ないが、それでもＬ１に入ってくるまでは差が詰まらなかったのはちょっと不満がある。Ｌ３の段階ではほぼ準最速というような感じで勢いはついている状況だったはず。新馬戦でもＬ１でかなり良い脚を使ったが、瞬時の加速という感じではなかった。オークスではＴＳ持続特化型は余程能力的に抜けていないとなかなか差し込みにくく、ブエナビスタでもやっとゴール前で差し切った、ハープスターも動き出しが鈍くて苦労しての２着。この時点で世代レベルで見ても末脚だけで勝負できるわけではないので、仮に後ろからになってしまうと恐らく届くところまでは難しいだろうと思う。３着争いレベルで良ければとは思うが、少なくとも勝負しようと思えば中団付近にはいないと、というところ。面白い馬は多い、前走の敗因は恐らく基礎スピード面でそこは気にしなくていいが、要所でスッとという感じでもないので。
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