2017 6/4(日)
第67回 安田記念(GI) 東京芝1600m
出走予定馬一覧
エアスピネルとともに今年はマイル重賞路線で存在感、東京新聞杯勝ち馬ブラックスピネルが安田記念に出走予定だ。東京新聞杯ではまさかの逃げの手になったしまったがドスローの流れを味方にしっかりと逃げ切り嬉しい重賞初制覇。前走のマイラーズCでも最後は差し込んできたが4着。強敵相手だが、重賞初制覇の舞台となる府中のマイルで再度主役の座を掴みたい。
京都金杯の内容が良かったし、前走のマイラーズCも決して流れ的に良くはなかった中でL1までしぶとく食い込んできた。十分戦えるだけの立ち位置だが、それでもマイラーズC時は対エアスピネルで1.5kgのハンデを貰っていた。エアとの比較でとなるとなかなか明確な優位性は見いだせないがTS持続は面白い。今回はある程度前目での競馬を意識すると思うのだが、一方で逃げる形は音無師で好ましくないというところ。展開が読みにくい中で音無師の注文が多い状況をテン乗りの松山がこなせるか。
●東京新聞杯(GIII) 1着 10頭2枠2番
東京芝1600m良 1:35.3 49.8-45.1 S^5
12.8 - 12.0 - 12.4 - 12.6 - 12.4 - 10.9 - 10.8 - 11.0
当然勝った東京新聞杯からなんだけど、正直この一戦を評価するというのは本当に難しい。超高速馬場状態でペースもドスロー、中間終始淀みなく空前のドスローで、直線だけの競馬となっている。気持ちいいぐらい直線だけの競馬で、逃げたブラックスピネルがこのラップを刻み切っているわけで、流石にこうなるとポジション差の影響が大きい。
2番枠から好発を切ってそこからひとまず出していく。ただ外から誰も行かないので恐らくミルコ本人もかなり誤算というような逃げの形で折り合いを重視しながら手綱を引っ張って3角。3~4角でも押さえているような状況、4角でそれを外して直線。序盤で外から競りかけてくるマイネルアウラートを馬なりで抵抗し、L2の坂の上りでしっかりと前に出る。L1でもしっかりとトップスピードを維持、落とさずに凌ぎ切った。
3Fで11秒前後を維持してきているようにこの馬自身のTS持続があるからこそ、とは言えるだろうと。少なくともマイネルアウラートとはL2-1で決定的な差をつけてきたわけで。ただ流石にここまでドスローでとなると位置取りの差が他にとっては大きすぎたし展開的に恵まれてのものなのも確かなところ。エアスピネルなんかでも究極的な上がり32.3であの位置からで差し切れなかったわけだし、位置取りの差が響いた一戦で特殊過ぎたのはある。
●マイラーズC(GII) 4着 11頭7枠8番
京都芝外1600m良 1:32.4(+0.2) 47.4-44.8 S^3
12.4 - 11.2 - 11.7 - 12.1 - 11.4 - 11.3 - 10.8 - 11.3
前走のマイラーズCでは実際位置取りがエアスピネルと逆転して完敗だった。もちろんこの馬自身は上がり最速32.8だが当然ポジション差があって届かなかったという結果。ペースは2.6で超スロー、ラップ推移的にはL4で一段階目、L2で最速10.8と2段階加速戦となっている。
8番枠から五分のスタートからじわっと出していって最終的には好位で進める。道中はエアスピネルを見ながらで3角ではエアの後ろを意識しつつ一頭分内を通す、4角で前にスペースができたのでそこで仕掛けながらエアの直後を通して外に出す。序盤で一瞬出し抜かれるがL1ではジリジリと差を詰めてきてなだれ込むも4着までだった。
流石に4F勝負でここまでラップを維持されるとこれを後ろから差すというのは難しい。特に4角~直線序盤でエアスピネルやイスラと比べて伸び始めが遅かったし恐らくギアチェンジ面ではこの2頭に1段階見劣る馬だと思う。ただL1では必ず伸びてきているように後半の3要素で見ればTS持続がこの馬最大の魅力にはなってくると。
●京都金杯(GIII) 2着 18頭1枠1番
京都芝外1600m良 1:32.8(+ハナ) 45.9-46.9 H^1
12.2 - 10.6 - 11.1 - 12.0 - 11.7 - 11.9 - 11.5 - 11.8
この京都金杯でも結果を出してきたのは大きい。もちろんエアスピネルには1.5kgのハンデを貰っていた立場ではあるので決定的にハナ差まで詰めたことをどこまで評価できるかだが、それでもハイペースでしっかりと末脚を引き出してきたように基礎スピード面を高めてきているのは大きな魅力といえる。
1番枠から五分に出てそこからじわっと先行争いに乗っていく。最終的には2列目のポケットから控えて3列目。3~4角でも3列目の内内で我慢して直線。序盤で進路を中目から外に持ち出したいのだがエアスピネルが抜け出すまで待たされる。L1でエアがしんどくなったところを決定的に差を詰める形で最後は首の上げ下げも2着までだった。
3~4角でロスなく完璧に立ち回ったが、流れとしては4角で少し減速している流れの中で進路を外に持ってくるまでにワンテンポ置かれた。L2で再加速の流れだったのでここはちょっと響いたし、意外と内容的にはエアスピネルに完敗というほどではない。もう少し早い段階で進路確保ができていたらL1は食っていた可能性は十分にあるなと。ただもちろんその辺りも含めて総合力であり、この馬としてはやはりトップスピードに乗せるまでのギアチェンジ面でやや物足りない面があると。エアスピネルはこのペースから前を向いていたにせよL2で推定11.1辺りを使ってきているわけなので、その辺りのギアチェンジや基礎スピード面が問われて引き出せる幅といった総合力の差も考える必要はある。ただ、L1のTS持続といった素材面では互角以上に戦える目途は立ててきた。
●2017安田記念に向けての展望
まあ馬券圏内で見れば十分チャンスはあると思う。ただ、エアスピネルに対してはやはり要所の反応が見劣るので、その辺りをどうフォローした乗り方ができるか。また基礎スピード面はこの馬も持っているので、最序盤ペースを怖がらずに前に出していけるのは強み。本来なら東京新聞杯で逃げて結果を出すこともできたし、逃げないにせよ逃げるよ?という姿勢を見せることで上手くペースを作っていける立場にあるのだが、音無師は融通が利かない無茶な指示をすることが多いので、逃げるな、でも前につけろというパターンの時は探り探りになる可能性は高い。
今回は松山だから恐らく指示は忠実に守らないといけない立場だろう。最序盤の制約がある可能性が高いので、ドスローでも我慢して2列目でといううちに馬群に入り込んで難しい展開に、という不安要素はもちろんある。トップスピードの質的には上位勢に対して優位性は無いし、緩い地点からのギアチェンジでは見劣るのでペースはある程度平均前後で作ってしまった方が良いと思う。前目で受けてもしっかりと速い脚を引き出せていたし、L1の踏ん張りは武器になる。前がゆったりという流れに合わせて緩い地点から要所で置かれるパターンが一番嫌かな。そこをどう乗ってカバーできるか。基礎スピードも高い、TS持続も高い、素材的には良い馬だけど、色々と制約があると思うので馬券的にはそこが難儀かな。中盤以降のロンスパ気味の競馬になると富士SやチャレンジCの内容からちょっと物足りないし、そうなるとヤングマンや中距離型のアンビシャス、ステファノスの方が末脚の絶対量は上だとみている。どういうペースでもそれなりにチャンスはあると思うけど、出し切る必要があるし全体との比較で見れば出来れば平均ペースが望ましいとみている。馬券的には連下で狙うには条件的にちょっと難しいかもという感じで、3着ヒモまでかなあ。今回は難しいし枠の並びで変える可能性がある馬が多いので何ともだけど、器用さはないので自分でレースを作っていける立場でなければ不安は小さくないと思う。
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