2017 6/28(水)
第40回 帝王賞(JpnI) 大井ダ外2000m
出走予定馬・枠順
昨年はJBCクラシックを制し、今年はドバイワールドカップに参戦して5着と善戦を果たしたアウォーディーが武豊とのコンビで帝王賞に出走予定だ。ドバイ遠征から帰ってきての初戦だけにケアがどうか?というところも含めて不安材料も多い。内枠を引き当てたがしっかりと外に出してこの馬の持ち味を存分に引き出すことができるか。
枠的にはかなりいやな並びになったなと思う。特にすぐ外にケイティブレイブがいてクリソライトが外から競ってくるという隊列の中で外に出し切れるかどうか。小器用な脚はなさそうだしその辺りを上手くクリアできるかが勝敗に関わってくると思う。
●JBCクラシック(JpnI) 1着 14頭6枠9番
川崎ダ2100m重 2:15.3 63.9-64.6 M
7.1 - 11.1 - 12.6 - 13.3 - 12.9 - 13.7 - 14.0 - 11.8 - 12.5 - 13.1 - 13.2
まずは4走前のJBCクラシック勝ちから。この時は川崎の2100m戦で重馬場、ペースバランスは平均だが超小回りの川崎らしく直線でペースが上がってコーナーでペースダウンしてまた直線で、という繰り返しの競馬に近い。ただ川崎2100m戦としては珍しくL1で再加速にならず消耗度合いがきつい競馬になっている。全体の基礎スピードとポテンシャルを高いレベルで問われたし、もちろんギアの上げ下げを何度もする、そういった面での器用さも問われた。
9番枠から五分には出てそこから押して追走、コパノリッキーを見ながら好位の外目で入っていく。1周目のスタンド前では中団に近い位置で外目から余裕をもって進めて向こう正面。向こう正面で川崎らしい一気にペースが上がって11.8を刻む早めの仕掛けの中で好位の外から仕掛けながら3角に入ってくる。3角では先頭列まで取り付いてコパノリッキーの外からプレッシャーをかけて直線。序盤で粘り込むホッコータルマエを捕えて先頭、ラストは外からサウンドトゥルーが伸びてきたがこれも問題とせずの完勝だった。
後のチャンピオンズカップ覇者であるサウンドトゥルーをポテンシャル戦で正攻法で問題としていない、川崎2100の鬼であるホッコータルマエを捕えに行って楽に捕まえ切った様にかなり強い競馬だったと言っていい。ただタルマエがL1で加速できなかったようにL4の11.9がかなりきつかったとは思うし、アウォーディー的にはこういった素材的な勝負に持ち込んで3~4角での減速からの直線再加速、という競馬に持ち込ませなかったことが勝因としては一つあると思う。
●東京大賞典(GI) 2着 14頭5枠8番
大井ダ外2000m重 2:06.1(+0.3) 64.8-61.0 S^4
12.8 - 12.3 - 12.8 - 13.7 - 13.2 - 12.5 - 12.2 - 12.4 - 11.6 - 12.3
大井の2000ということでやはり2走前の年末総決算、東京大賞典2着も見ておきたい。まあこのケースが負けパターンの一つにはなってくると。3.8の超々スローでラップ推移的に見ても綺麗に2段階加速戦となっている。向こう正面でのペースアップの度合いも小さく、3~4角で減速度合いも小さく、そのまま直線前半で11.6と速い脚を要求されたし、ダートで12.4-11.6と非常に高いレベルのギアチェンジを問われている。後半の総合力勝負でポテンシャル勝負に持ち込めなかった。
8番枠からまずまずのスタート、そこから楽にそとを確保しきったので無理せずにコパノリッキーの番手でペースをコントロールする形になる。ただ向こう正面でもペースを引き上げきらずに仕掛けでやや消極的、先頭に並びかけて3角に入る形。3~4角でもペースが落ちずに流れている中で番手からしっかりと食らいついて直線。序盤で逃げ粘るコパノリッキーにはならびかけたがギアチェンジの差でアポロケンタッキーに出し抜かれる。そのままL1は抵抗してサウンドトゥルーの強襲は防いだが2着完敗だった。
この時のアポロケンタッキーはいわくつきの勝利なので何ともだが、それでもそれを抜きにして要所の反応の差で一気に外から抜け出される競馬になってしまったのが響いたとみるべきかなと。正直この馬でやってほしい競馬ではなかった。前半のペースが明らかに遅い中で向う正面での仕掛けが遅くなれば大井の3~4角でペースを引き上げるのは川崎ほどではないにせよ難しいし、そうなると直線でのトップスピード勝負になってしまう。この点も今回武豊がどう修正して乗ってくるかに注目したいところだ。
●ドバイワールドカップ(GI) 5着 14頭7番7番ゲート
メイダンD2000m良 2:04.08(+1.92) 60.61-61.56 H^2
24.81-23.47-24.65-24.93-24.30
アロゲートに圧倒されたものの強敵相手に5着と善戦した前走のドバイワールドカップ。ペースはアロゲートが落とさなかったというのはあるが、日本式でもアロゲートで59.6-61.6ぐらいになるのでかなりのハイペース。ラスト2Fでアロゲートとガンランナーが加速ラップを踏んでいる、アウォーディーにとってはドバイ公式のラップから計算して後半4Fは25.60-25.26なので一応後半2Fで加速ラップ。多分1Fずつで見ればL2でいい脚を使ってL1は減速しているとは思うが。
7番枠から五分には出て思ったよりはいい位置を取って好位で進めていく。道中も好位の内内で立ち回りながら仕掛けを待ちつつ向こう正面。アロゲートが向こう正面で外からじわっと上がってくる中で好位列が雁行状態となる中最内でぴったりとロスなく立ち回って3列目で直線。序盤でそこからしぶとく食らいつきたいがアロゲートには離される。それでも最後までしぶとく伸びて5着を死守した。
日本勢では最先着だったことが示す通り、単調な厳しい流れで基礎スピード面を問われてもポテンシャル面をしっかりと引き出してきたと言える。ちなみにこのレースで日本馬2番手がラニだったことが示すように、器用さは必要なくバテ差し出来れば上位には入れた。アウォーディーも基本的にはこの素材の高さを活かす競馬が望ましいのは間違いない。
●2017帝王賞に向けての展望
今回ポイントになるのは前述のとおりでしっかりと出し切る競馬になるか。特に大井の2000は川崎ほどではないにせよ急コーナーでコーナー地点で速いラップを踏み続けるのは結構難しい。となると必然的に向こう正面でしっかりと早めの仕掛けが問われる。もちろんペース次第で補正する必要はあるが、東京大賞典のようにドスローであれだけ向こう正面で仕掛け切れなければ直線前半の反応で見劣ってしまう。この辺りを補正しなければ大井で勝ち切るのは難しい。理想は川崎記念の様に向こう正面で一気に上がり切って3角で外から勝負に行く形。急コーナーなので向こう正面までには外に出して、向こう正面で動く意識を持ちたい。その点で今回はどうしても内枠がネックになる。並び次第では最近はゲートも良くなってきているし対応もできるかと思ったが、すぐ外に逃げるであろうケイティブレイブがいて、更にクリソライトが外から絡んでくるので恐らく最序盤外に出すのはそんなに簡単ではない。ただ、ハイペースメイカーのクリソライトが外枠ということ自体はこの馬にとってはプラスで、向こう正面までに縦長に引き延ばしてくれれば外に出すスペースも生まれやすいし、適性的にも基礎スピードが問われればドバイで示した通り。後はドバイ遠征明けがどうかというところだろう。不安もあるが、クリソライトがペースをハイに引き上げてくれば当然地力は一番だろうと思っている。
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