日程:2017年12月2日(土)
第68回 チャレンジカップ(GIII) 阪神芝内2000m
予想用・出走予定馬一覧
中距離路線では毎度おなじみマイネルミラノがチャレンジカップに出走予定だ。このブログでもたびたび登場してきているが、もはや今となっては完全にルージュバックアシストマンと化している。今回ルージュバックはいないが、早めの仕掛けを敢行して出し切りたい馬のアシストをする馬。展開を握る一頭なのは間違いないが、もちろんそれ以上の結果を求めたい。
まあ…この馬はバランスが難しいんだけど、多分凄くスポットが小さいんだろうなあ。3~4角でのコーナリングの上手さは抜群でここで引き離していくことがこの馬の持ち味ではあるが、一気にトップスピードに乗せると顕著に甘くなる。ロンスパが理想だが前半が緩すぎると後続も対抗できてしまう。この辺りのバランスが非常に難しい。一度マイルを走っても良いんじゃないかなと思うぐらい。…ちなみに半分は冗談、半分は本気の余談だが…前述しているようにルージュバックが古馬になって勝った重賞は全てマイネルミラノが逃げていて、そうでないレースは全てルージュバックは負けている。そういうレースを作るので、今回もルージュバックでないなら何が突っ込むのか?というのが展開の軸になると思っている。
●福島民報杯(OP) 1着 16頭8枠15番
福島芝2000m良 1:58.5 58.1-60.4 H^2
12.5 - 11.0 - 11.4 - 11.5 - 11.7 - 11.8 - 12.3 - 11.9 - 11.8 - 12.6
まずは6走前の福島民報杯勝ちから振り返る。ペースは2.3でかなりのハイ、ラップ推移的には3角手前で緩んでいるが前が落としているというだけで、ここでミラノが動いたのはいつものパターンである。ある程度高いレベルでの基礎スピードは問われたが、離れた番手では59秒台なので恐らく3番手のミラノの位置では平均ぐらい。
15番枠からまずまずのスタートを切ってそこから押して押しての先行策を狙うのだが外のステイインシアトルが速いのでこれを行かせて2列目で進めていく。更に1~2角でシャイニングレイが捲って単騎逃げに持ち込む形になったので離れた3番手で進めて3角。3角の緩やかなカーブ地点で前が減速、ここでミラノが動きだして先頭に一気に迫る。そのまま4角では2~3馬身までリードを広げて直線。序盤で勝負を決める形、しぶとく粘ってL1まで踏ん張っての勝利となった。
これが基本スタイル。ただし、大知より丹内の方が一気にではなくある程度分散して速いラップを極端に踏まないように意識しているという感じ。それと、もう一点重要なのは、もちろん字面ほどのハイではないにせよこの馬の位置でも平均ペース。なので前半の基礎スピードもある程度要求させている。函館記念を勝った時が1秒のスローなのだがそれでも極端なスローには持ち込んでいない。このレースではトップスピード戦に持ち込まない、基礎スピードとポテンシャルにコーナリングの上手さを合わせての勝利だったとみている。
●オールカマー(GII) 4着 17頭5枠10番
中山芝外2200m良 2:14.0(+0.2) 63.1-58.2 S^5
12.8 - 11.7 - 13.2 - 12.9 - 12.5 - 12.5 - 12.1 - 11.3 - 11.2 - 11.6 - 12.0
2走前のオールカマーが負けパターンとしては一番多い形だと思う。もっとも、これまで結果が出ていなかったので10番人気と低評価での4着なので善戦とも取れるからたちが悪いが…。このオールカマーでは一見5秒近いドスローに持ち込んでしてやったり…という感じなのだがポイントはL3最速11.2というところにある。
10番枠からまずまずのスタートを切って押して押して先行策、最終的にしっかりと鼻を取り切る。中山の1角の上りでペースダウンしそこからはドスローにコントロールしてかつリードもとってと悪くない競馬。しかし3角で大知らしい一気の仕掛けでペースアップ、L3で最速ラップ11.2を踏んでトップスピードに乗せて直線。序盤でいきなり雲行き甘くなってL1の坂で失速、呑み込まれての4着だった。
まあ…4着なんだけど、という感じ。普通の馬ならこれだけ恵まれれば残りそうなんだが、ミラノの場合トップスピードに乗ってしまうと甘くなるのが非常に早い、という特徴がある。実際この馬の過去の全レースの上がり3Fを見てもらえればわかると思うんだが、古馬になってから33秒台を一度も出せていない。3歳時に一度だけ33.9を東京マイルで好位から出しているが、その時の勝ち馬ケイアイチョウサンが33.4を出せるぐらいに軽い馬場だったわけで平凡である。この馬はトップスピード戦だと本当に使える脚が一瞬しかないので、流石にドスローで3角から一気にペースを上げてしまうと後ろの目標になるのは仕方がない。小回りでロンスパ早めの仕掛けで踏ん張り切るから長く脚を使えるイメージだが、あくまでポテンシャル面…そして前半ある程度削いでいるという前提が必要だと思っている。このようにドスローのTS持続に特化してしまうとこういう完璧に恵まれた競馬ですら差し込まれてしまう。
●福島記念(GIII) 10着 15頭6枠10番
福島芝2000m良 2:00.8(+0.6) 62.2-58.6 S^4
12.5 - 11.9 - 11.7 - 12.8 - 12.7 - 11.4 - 11.6 - 11.6 - 11.5 - 12.5
そして前走の福島記念はもう一つのパターン。単純にドスローにしすぎてポテンシャル特化戦に持ち込んでしまったということ。ペースで見れば3.6と超超スローに突入していて、ラップ推移もその分仕掛けが早くL5最速で、ここは向こう正面である。レースラップでそういう流れであるという前提で見ていく必要があると。ただし、内容的にはこの馬自身に問題があった面もある。出足がいまいちだったことを考えても状態面の問題、58kgといったところの影響は合ったかもしれない。
10番枠からまずまずのスタート、そこから押して押しての先行策だが2列目の外までで前半はコントロールせざるを得ない。道中でもドスローの流れ、向こう正面で思い切って上がっていくのだがここが11.4の地点で押し上げて先頭に立つ。3~4角でも速いラップを維持するのだが後続も前半がドスローなので取り付くのが楽。早い段階で並ばれて直線抵抗苦しく後退で2番手。L1では失速した。
過去を見てもポテンシャル面で良さが出たのはあるんだが、函館記念にせよ福島民報杯にせよ最低限のラインで流れていた。昨年の函館記念は60-59で1秒程度だし、福島民報杯は自身では平均ぐらいのバランスだろう。全体の流れをある程度引き締めたうえで早めに仕掛けて後続の脚をなし崩し的に使いたいのだが、こうやって前半が62秒台となると基礎スピード不足の馬も追走が非常に楽になる。そうなるとポテンシャル特化で弾ける馬は幾らでもいる、というところでこの馬としては上手くレースメイクできなかったところに不満があった。ただこれに関しては鞍上も最序盤から促していてスローの段階でいけなかったので(前半3Fで見ても36.1と1角辺りから下ってペースが落ちない福島2000としては遅い部類)、恐らく馬自身の問題もあると思うし今回そこは差し引く要素になる。
●2017チャレンジカップに向けての展望
前半のペースの作り方がカギになると思う。前走もそうだしオールカマーもそうだが緩すぎる。後続に楽をさせないという前提が必要な馬で、それは単純な末脚比べでは見劣るということを示している。コーナリングが抜群に上手いと思うので、3角鋭角から3~4角の中間緩やかな疑似直線コースで一気にペースを引き上げ4角再び急なコーナーで一気に出し抜く、という競馬自体は噛み合いそうな感じはある。福島で相性が良いというのも3角緩やか~4角急というスパイラルカーブに対する適性が高いというのもある。阪神も3~4角中間は緩いのでここでスピードに乗せながら4角でスッとというのはあり得るかなと。後はとにかく相手関係とこの馬の状態面。前走の感じだと強くは狙いづらいし、ここ数走期待しながらもなかなか良いバランスで走れていないという現実があるので、丹内ならまだ期待は持てると思っているけど札幌記念も含めてパフォーマンスそのものが落ちてきている感もある。扱いが難しくなってきたなという感じ。このメンバー構成ならかなり楽に競馬もできると思うんだが、前走の出脚の拙さはちょっと気になったし追い切り面での上昇は欲しい。いずれにせよ3~4角からの勝負に持って行くのは確定的だとみているので、この馬を買うかどうかはともかくそういう適性の高い馬を軸に据えて、この馬は狙うとしてもヒモで拾う形にとどめておきたい。一度でいいから引退前に豊が乗ってくれんかなあ…と思っている一頭。
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