2015年11月4日水曜日

第22回マイルグランプリ②

JBCが終わり、祭りの後の静けさが漂うイメージの重賞となってしまった今年のマイルGPだが、気を引き締めて各馬の評価をしていこう。

1枠1番ハーキュリーズ
タックスヘイブンの息子で半兄には平安Sなど重賞で3勝を含めダートで10勝を挙げた実績があるダート巧者のヒシアトラスが居るが、前走ではダート経験の少なさが気になり評価を割り引いたが、道中折り合いに苦しみながら直線で先頭を窺うシーンを作る4着と健闘。
まぁ、直線で見せ場を作ったと云えどもタイムズアローがソラを使い勝手に失速しただけの話でそれ自体は特に評価すべき事ではないが、経験の少ないダートで道中折り合いを欠きながらバテなかった事は評価出来るし、今後ダートで通用する目途がついたと言えるレース内容。
今回はその埼玉新聞栄冠賞から連闘と強行軍のローテーションだが、前走を使った上積みが期待出来る上、前走行きたがる部分を見せただけにマイルの距離になるのも好材料で穴に一考の余地あり。


2枠2番インフォーマー
半姉にユングフラウ賞馬カネショウバナナや川崎1400のレコードホルダーだったチョウサンペガサスがいる川崎では馴染みの血統で、8~9月に3連勝を果たしてA2クラスまで出世して今回が重賞初挑戦となる。
ただ、前走でスタートで後手を踏んだと云えども4着に敗れて連勝がストップしたし、それ以上に気になるのは今回大井が初めてと云う部分で、それらを含めて重賞初挑戦の今回は勝ち負けを期待するより今後に向けてどんなレースが出来るかに注目するべき。

3枠3番エアラフォン
この馬も埼玉新聞栄冠賞からの連闘だが、南関転入後は2戦続けてシンガリ負けを喫しており特に上積みがあるかは疑問、中央時の実績はともかく、中央時代の収得賞金がカットされて格付けされる恩恵でC級からスタートした高知・佐賀で取りこぼしているようでは重賞どころか南関のB級ですら通用するまい。


3枠4番マルカンパンサー
下の条件から地道に実績を積み重ねてA2クラスまで出世した馬で、これまで重賞に出走したのは昨年のマイルGP6着とシンデレラM4着の2回しかないが、使い詰めの疲労がありスタートで出遅れたシンデレラMは別として昨年のマイルGPは後方待機から直線だけの競馬で6着しジョーメテオ・トーセンアドミラルなどのオトコ馬の重賞クラスに先着したのだから斤量53Kと軽量の恩恵があったと云えども立派だろう。
ただ、過去に1600で結果を残していると云えども前走の15回大井・ムーンライトC5着の内容からこの馬のベストの距離は1400のイメージがあるだけに、昨年と同じ軽量の53Kを以ってしてもオトコ馬が相手の重賞で勝ち負け可能かは微妙な印象があるのは確かで、足りない部分はヤネの的場文男に補って貰うしかない。


4枠5番グランディオーソ
母のメジロプレストは名馬メジロブライトの全妹と云う血統で、昨年は一線級相手に互角に戦いサンタアニタT・マイルGP・浦和記念などの重賞2着を含めて【4・3・0・1】と年間を通して活躍していたが、今年は別馬の如く【0・0・1・4】と勝利するどころか2着すら出来ない体たらく。
このスランプの要因は気難しい部分があるだけに昨年末の名古屋への長距離輸送が影響して自身のリズムを崩し、それが今年の不振に繋がっている印象で、精神面のスランプは肉体面のスランプより尾を引くだけにかなり深刻な印象、今回は一息入れて充電した事でどこまで立ち直っているかがカギで、重賞勝ちこそ無いが南関ではトップクラスの能力がある馬だけに上手くリフレッシュ出来ていれば当然ここでの勝ち負けは必至なのだが現時点では半信半疑が本音。


4枠6番ソルテ
古馬になってからは重賞で勝ち切れない競馬が続いたが、昨年末にデビュー当時より50K近く馬体を増やしてパワーアップ、今年に入ると自身ベストのマイル戦に限れば現在5連勝中と完全に本格化、それまで重賞で勝ち切れず万年2着だった事が嘘の様に肩掛けを増やしており、逃げ馬をピタリとマークし自ら力で捻じ伏せるレース振りはまさしく南関のマイル王と呼ぶに相応しい風格が漂い圧巻の一言、前走後に暑さを避けて一息入った事で仕上がりがどうか若干気になるが、これまでの実績から勝たなければいけない馬だけにここを勝利して今後に向けて好発進して欲しい。


5枠7番ジャジャウマナラシ
昨年末に行われた園田・兵庫ジュニアGPを勝ちNAR最優秀2歳牡馬に選出されるも、今年に入ってからは不向きな距離のクラシックや強力な相手で適性が微妙な芝のレースを使っている事で川崎のA2下特別でやっと1勝を挙げただけとやや不本意な成績が続いている現状。
また、この厩舎らしく暑い時期に2度の長距離輸送付きの新潟への連闘やテレ玉杯オーバルSPからムーンライトCへの連闘など過酷なローテーションが目立つだけに昇り目があるかは正直疑問。


5枠8番ムサシキングオー
今年に入り準重賞・OP特別では【2・2・0・0】と連を外していないが、自己条件や重賞では【0・1・2・4】と勝ちあぐねており、1600~2000と幅広い距離にソツなく対応する反面、この馬のベストの距離はと問われると答に窮する少々つかみどころのないタイプと云う印象。
近年マイルGPで好走例が多いムーンライトCを勝っているだけに要注意かも知れないが、54.5Kの軽ハンデだったサンタアニタTで9着と敗れているだけに斤量57を背負わされる今回は大きな前進があるとは考え難く、1600で結果を残していると云えども1分40秒前後の持ち時計しかなく早い時計の決着になると厳しいだろう。


6枠9番サトノデートナ
前走の東京盃は後方から直線だけの競馬で6着とソコソコの内容だったが、中央所属の快速馬には敵わないと判断したのか今開催のJBCスプリントを使わず、南関勢が相手のマイルGPを選択した模様。
確かに南関に転厩した直後は距離1500~1800のレースを使いそれなりの結果を残していたが、この馬の成績が向上するきっかけは中央当時に良績のあるワンターンの競馬を使うようになってからだが、2~4番手から抜け出して勝利した昨年のインタラクションCや前々走のゆりかもめOPのように本来は前々で競馬が出来るが、ゲートを出てから前に行かないケースが多々ある気ムラな馬だけに今回は久々のコーナー4つの競馬となり集中力が持続するかと云う不安の方が大きい。


6枠10番リアライズリンクス
再三指摘しているようにリアライズリンクスはスピードに乗るとハイラップを踏んで逃げる事が可能だが、スタートダッシュが鈍くトップスピードになるまで時間を要するタイプと云う部分で、近走はその弱みがモロに出てハナを奪えず不完全燃焼の結果が続くが、スタートダッシュに課題がある馬だけにテンが忙しくなるワンターンの競馬は不向きと思え、今回は南関勢が相手のツーターンの競馬になる部分は好材料、問題は【1・2・0・0】と連対率10割も自身ベストの距離より1F長い印象があるマイルに対応可能かと云う事で、仮に今回ハナを奪う事が出来てもマイル王ソルテにマークされる厳しい展開を凌げるかどうか?

7枠11番カネトシイナーシャ
11年4月に栗東・白井厩舎がデビュー、レースを使いながらジワジワと力をつけて13年10月にOP入りしたが、OPクラスでは11戦しながら掲示板すらゼロと全く通用せず完全にアタマ打ち、今年の6月に南関へ転厩し巻き返しを図るも、転入後のレースを見る限りではスタートに難がある事から毎度後方からの競馬になってしまい、終いキッチリと伸びるがワンパンチ足らず突き抜ける事が出来ない現状から、前走の15回大井・ムーンライトCより更に相手が強化するここで勝ち負けするのは厳しい印象。

7枠12番トーセンアドミラル
中央時は1700~2000Mで結果を残していたが、地方転入後はブリンカー着用が奏功したのか不向きと思っていたマイルの距離に対応、スパーキングサマーC・マイルGP・京成盃GMのマイル重賞で3勝を挙げて現在はマイルの距離がベストの印象、現実に今年も川崎マイラーズ3着・京成盃GM2着・スパーキングサマーC3着とマイル重賞で複勝圏内から外れたのは勝ったソルテにピタリとマークされる厳しい展開に泣いたサンタアニタT10着の1回だけ、確かに決め手が無い馬だけに早目先頭の競馬が出来ないと勝ち負けするのは厳しいが、決め手は無いが決してバテないタイプだけに自分のペースを守って競馬をすると渋太く粘る事が可能で大崩れするのは考え難いが、重賞で複勝圏内に入っていると云えども走破時計は1分41秒~43秒台と何れも遅く、早い時計での決着になった時は対応出来ないのがこの馬の弱み。


8枠13番ゴールスキー
半兄にダート王ゴールドアリュールがいる血統だが、デビューから芝路線を歩みマイルCSや東京新聞杯で其々3着する実績を残したが重賞には手が届かず、半兄に倣って6歳の6月にダート路線へと方向転換した事が奏功し14年の根岸Sで待望の重賞制覇に成功したが、その後は勝てない日々が続き、心機一転巻き返しを図り南関へと転厩。
中央時に14年のかしわ記念・さきたま杯に出走しているが其々4着と勝ち切れず、この時のレース振りからこの馬のベストはワンターンの競馬で、ツーターンの競馬は不向きと云う印象があり、それを考えれば今回はツーターンの競馬だけに割引が必要だし、何より転入初戦を予定していた16回大井をザ石で使えないなど順調さを欠いた上、今回斤量59を背負わされる厳しい条件では見送りが正解だろう。


8枠14番フォーティファイド
母はダートGで活躍したファストフレンドと云う良血馬も、以前のように安定して結果を残せなくなったし、順調にレースを使えなくなった印象もあるが今年でもう10歳になるだけに仕方ないだろう。
それでも今年は得意の長距離レースの金盃で見せ場を充分に作る3着と好走しており10歳馬と云えども一概に見限れない、長距離得意の馬だけに今回のマイル戦は距離がやや短い印象も、同距離の昨年と今年のサンタアニタTでは無欲の直線勝負に徹して7着・4着の結果を残しており、昨年のサンタアニタは7着と着順こそ悪いが、2着のグランディオーソとはコンマ3秒差だけに内容は悪くないし、今年のサンタアニタも上がり最速の37秒6をマークして3着のカキツバタロイヤルとコンマ2秒差だからイメージよりも無難に1600の距離に対応している。
ただ、ヘタな小細工が出来るタイプではないだけに、サンタアニタと同様に後方待機から直線勝負に徹するだけ、それがハマるかハマらないかはレースが終わってみないと判らない。


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