最後は、中山記念。
ドゥラメンテは、4コーナーで(ミルコ)デムーロの手が動いていたんだけど、休み明けで反応が鈍くなることを見越して、早めにゴーサインを出したんじゃないかな。でも、思ったよりも反応が良かったぶん、直線で早めに抜け出す形になったんでしょう。最後はアンビシャスに際どく詰め寄られたけど、勝ちに行く競馬をしただけに仕方がない。むしろ休み明けでも反応良く動けたのは嬉しい誤算といった感じで、なおかつキッチリ結果も出せたんだから最高の競馬だったと思うよ。久々の実戦でも気負うところもなかったように、強いばかりではなくて賢さもある。プラス18キロでも太くは見えなかったし、馬体も成長したんだろう。調教の動きからして正直、8分ぐらいの仕上がりだったと思うから、このひと叩きでさらに良くなるはずだしね。どこを使うにしても、次も本当に楽しみだよ。
アンビシャスは、終い勝負に徹していたね。折り合いの難しい馬だけに、無理に前へ行こうとすればハミを噛んでムキになりかねない。ルメールは何度も乗っているからその辺は分かっていたんだろうし、スタートで後手を踏んでも慌てず騒がず、ジックリ構えたんでしょう。持ち味の決め手をうまく引き出せたにせよ、この馬とすればだいぶ後ろからになったわけで、これだけの競馬ができれば上等じゃないかな。負けたとはいえ全然悲観することはない。まだ4歳馬で若いんだし、これからもっと良くなってくるだろうしね。この馬も次にどういった競馬をしてくれるか楽しみだよ。
リアルスティールは、インコースを通ってロスのない競馬ができていたんだけど、ドゥラメンテが動いた4コーナーでモタモタしていたね。道中の手応えからして(福永)祐一は、ゴーサインに素早く反応できると思っていたのかも。いざゴーサインを出したら、思ったよりも反応が鈍かったということじゃないかな。まぁ、休み明けだけに仕方がないし、最後はしぶとく前の2頭に詰め寄ったんだから、全然悲観することはないよ。このひと叩きで勝負所での反応も良くなるはずで、次走で改めて期待しよう。
フルーキーは、終始ドゥラメンテを射程圏内に入れていたんだけど、最後は決め手、能力の差が出てしまった感じ。相手が強かったとしか言いようがないよね。最近は大きく崩れないし、どんな相手でもソコソコの競馬をしてくれるだけでも大したもの。ローカル重賞とか、少しでもメンバー手薄になれば十分チャンスがあるんじゃないかな。
レッドレイヴンは、後ろでジックリ構えて終い勝負。同じような位置にいたアンビシャスのような脚は使えなかったけど、このメンバーに入ってこれだけやれれば上等じゃないかな。なかなか安定しないのは、気性的なものが影響しているのかもね。調教ではいい動きをするし、まともならこれぐらい走れても不思議のない馬。次も真面目に走れば…といったところでしょう。
ラストインパクトは、2番手から早めに動く積極的な競馬。なし崩しに脚を使う羽目になったぶん、最後は苦しくなったんじゃないかな。それに、そんなに切れる脚を使う馬ではないし、千八の決め手勝負だと分が悪い気もする。もっと長い距離でこそ良さが出るクチだと思うよ。
ロゴタイプは、ペースが遅かったぶん、テンに掛かるところはあったけど、もっと粘ってくれないとなぁ。持ち時計的に、この馬には時計が速過ぎたのかもしれないけど…。気分良く走らせためにも距離を縮めれば変わるとか、そういった簡単な問題でもなさそう。調教では柔らかい走りをしていたとはいえ、本当に良かった頃の首をグッと下げるところまではなかったからね。その辺が良くならないことには、この先もちょっとキツいかもしれないよ。
イスラボニータは、前回(マイルCS3着)に続いてスタートで出遅れたにせよ、それにしてもいいところがなかったね。調教で首を使えずに高い走りをしていたし、ヨーイドンの瞬発力勝負になったぶん、尚更キツくなったんだと思うよ。出遅れ癖、高い走りが直らないことには厳しそうだし、調教の段階からネックストラップを着けるとか、何かしら馬具を工夫したほうがいいかもしれないね。
※ ネックストラップ=ゲートで落ち着きがない馬や、飛び上がる癖がある馬などに用いられる。オルフェーヴルも現役時代に使用していた。
see more info at 元騎手・坂井千明の乗り役流儀~騎手にしかわからないことが、ある。~