2016 小倉記念(GIII) 芝2000ｍ良
レース回顧・結果
2:00.0 12.5 - 11.7 - 12.0 - 12.5 - 11.8 - 11.8 - 11.6 - 11.7 - 11.8 - 12.6
60.5-59.5S
バランス的には読みに近いややスロー、ただ時計的には１秒違って2:00.0と相当時計が掛かっていた。ただ、500万下の1800ｍ戦でも1:48.1とハロン12に近い時計が出ていたわけなので、そう考えると前半緩い流れだったとしても後半もうちょっと踏ん張ってほしかったなというのはあるし、正直に言えば凡戦気味だと思う。物足りない内容になったが、スローロンスパでコーナーで速いラップという形なので基本的には３～４角外だとちょっとしんどかったかなと。ただ例年に比べれば内外の差がそこまでないし、外からでも戦えたレベルではあると思う。いずれにせよ基礎スピード面は問われず後半のポテンシャル要素を問われている。
１着クランモンタナは３番枠からまずまずのスタート、和田が押して押して先行策を取る形で積極的に進めていく。１角では既に単独の２番手にたち、ナルトから少し離れた位置で進めるがおっつけ気味に追走。向こう正面でも手が動いているんだがそんなに反応が良くない。それでも向う正面でアングライフェンが捲ってきたのを見て鞭が入って３角で激しく追いだされてここで抵抗する。かなり手ごたえで怪しかったがそれでも４角で徐々にメイショウナルトに並びかけ、外から来るアングライフェンを前に出させずに気がつけば４角先頭。直線で手応え以上にしぶとく踏ん張るポテンシャルを見せるがＬ１はラップ的にも失速、外差しのベルーフの強襲を許すがそれでも何とか踏ん張り切って11番人気で番狂わせの勝利を収めた。まあ色々と噛み合ったのはある。まず追い切りは良かった。普段のこの馬に無い終いの迫力、ラップ的にも優秀だった。そして緩い中で先行策、アングライフェンが仕掛けたことでスローロンスパのポテンシャル戦になったことで、前々から３～４角で上手くロスを最小限に立ち回れた。まあ何とか封じ切れたのはベルーフがちょっと後ろ過ぎたことも噛み合ったと思うし、恵まれてないといえば嘘になると思う。ただ狙えた馬だけに個人的にはちょっと後悔があるかな。少なくとも３連複の対象ぐらいの印を入れていれば格好もついたんだけどね；まあ仕方ない。スローでここまでやれるとは思わなかったけど、ロンスパになり切ったのとポジションを取れたのが良かったかな。ただレベル的には正直なところ微妙だったと思うし、ポテンシャル特化でベルーフが一番強い競馬をしているぐらいだから、まああんまり当てにはならんかな。
２着ベルーフは５番枠からやや出負け、ポジション取りも少し消極的で、恐らくだがダコールマーク作戦だったと思う。道中もスローだったのだがダコールの後ろにつける形を狙って動くタイミングは遅い。向こう正面でアングライフェンが捲ったところでダコールもそれに合わせて動いていくのだが、そのあとの仕掛け。それでも３角では上手く内を立ち回って４角減速していく流れで外に出して中団に取り付いて直線。序盤もダコールが外に出そうとして直後で少しスムーズさを欠く。Ｌ１でバテ差しを決め込むいつものこの馬のパターンだったが最後は届かずの２着だった。まあハッキリ言って戦略ミスだったと思う。結果的にこの展開なら勝ち切るチャンスは大いにあったレースだったと思うんだが、結局ダコールを意識しすぎて４角出口からのダコールの脚が足りなかったので外に出すまでにスムーズさを欠いたし、Ｌ１のバテ差しは流石だったけど位置も後ろ過ぎた。本来ハイペースの昨年の競馬を積極的に中団追走しても脚を引き出せているぐらい基礎スピードを持った馬だったのに、スローの中でダコールの後ろでってなってしまうとポテンシャル特化ではちょっと辛かった気がするね。一応この馬もそこまで器用ではないが前半の基礎スピード面と後半のポテンシャルや大したレベルではないにせよトップスピード戦にも対応できるという総合的な良さを持っている馬だけに、偏った競馬をしたのは個人的には勿体なかったかな。特に今回はペース的にも落ち着く可能性が高かったと思うしね。前半無理はせんでも良いが、流石に中団ぐらいは意識してほしかったかな。ただもちろんだがクランモンタナがＬ１でここまで落としているわけなので、馬に対してもこれをぶち抜けるほどの抜けたポテンシャルはなかったと。これでも差し切れていたら馬を褒めたかったんだけど、レベル的に見てもやっぱり重賞で後半要素でとなると恵まれんと勝ち切れんなというのはあるかもしれん。結果的にここはかなりチャンスだっただけに勝ったクランモンタナとは対照的にちょっと噛み合わなかったなあ。
３着エキストラエンドは２番枠からまずまずのスタート、無理せずに下げて中団でレースを進めていく形。道中でもこの距離のスローにしっかりと折り合ってサトノラーゼンの直後を取って進めていく。向こう正面でアングライフェンが動いていく中でサトノの直後のスペースで我慢しながら後方に相対的に下がる形。４角で仕掛けを待たされて進路もなくダコールの直後を取る。直線序盤で中団から進路が空くとそこを突いてしぶとく伸びる。Ｌ１でもしぶとく伸びたが脚色的にはベルーフの方が上、最後は３着確保精一杯も2000で結果を残した。まあこの馬の場合は元々これぐらいの距離で実績があったし、内容的に見てもこのレベルだったら通用しても全然驚けない。もっとやれてもと思ったけど、2000にしてはスローロンスパで後半要素を問われたのもあるし、３～４角で手ごたえはあったけどちょっと我慢させられたのもあったかなとは思う。それでもこれならマイルに拘らずに1800前後を使っていっていいんじゃないかな。距離どうこうより極端にならない競馬が理想だと思う。東京1800でもややスローぐらいで流れれば違うと思うんだけどね。
４着ダコールは11番枠から出負けして後方からの競馬。そこから内に切り込みつつ中団を意識するような形でベルーフよりは前を取る。道中もスローの中で中団馬群で折り合いながら進め、アングライフェンがアシストするような形で外からスーッと押し上げていくのでこのタイミングでマーティンボロの直後からじわっと仕掛ける。３角ではマーティンボロの直後で追いだされるがイマイチ反応がない。それでもここで中目で我慢、４角でマーティンボロの直後を取って直線。序盤で前のマーティンボロが寄れたので外に外に誘導され追いだせず。そこから追われるとＬ１でしぶとくバテ差したが４着及ばずだった。ああ直線での不利がなかったとは言わないが、その後ろにいたベルーフも影響を受けているわけで、そのベルーフに差し込まれている段階で少なくともそれ以上はない。エキストラとの比較で見ればこの不利が際どいラインで影響しているかなとは思うのでちょっと可哀想だったかな。ただ、ベルーフとの比較で見てもそうだけど、この馬は2000だと前半ゆったりになって後半ポテンシャル特化ではちょっと甘いんだよね。それは過去の小倉記念とかでもそうだったけど、本質的にはやっぱり1800が理想だと思う。この馬の場合総合力を持っていて緩い流れからのトップスピード戦でも一定レベルやれるし、基礎スピードを持っているので前走の七夕賞みたいに流れちゃえば2000でもやれるから判断が難しいけど、ごまかしの利かない競馬になると2000以上はちょっと長いと思う。今回も決してレベル的に高かったわけではないし、もちろん58kgを背負っているとはいえそれは七夕賞でも小倉大賞典でも同じこと。相対的に見ると2000ではやっぱり信頼を置くのは危険な気がするね。
５着マーティンボロは６番枠からまずまずのスタート、そこからある程度無理しない程度に主張して好位列を確保する。道中も好位の前目でジッとして動かず、しかし外からアングライフェンが捲ってきた段階でどうしても仕掛けざるを得ず、徐々に手が動く。３角で好位列の３頭分外からアングライフェンの外を狙う。４角では２列目外で取り付いて直線。序盤でそこから追いだされるが外に寄れてしまって伸びはイマイチ。それでも一旦は２番手に上がったがＬ１での伸びで見劣っての５着完敗だった。まあレベル的に考えるともうちょっと頑張ってほしかったけど、不運もあったかな。ペース自体はこれぐらいの流れならあの位置でよかったと思うんだが、結局使える脚が長くない中でアングライフェンに外から動かれて前に出られた段階であの位置から動くとその外から押し上げざるを得なくなると。そうなるとどうしてもいい脚は一瞬というこの馬ではちょっと辛かった。それとこれぐらい緩い流れでもロンスパになったとはいえ全くトップスピードを要求されなかったのはこの馬としては辛かったかな。う～ん、なかなか買い時が難しい馬ではあるね。例年の小倉ならこの流れでももう一段階速いラップを踏む形になるのでやれたと思うんだが、今年の馬場だと速いラップを踏めないからねえ。
７着サトノラーゼンはこちら
９着アングライフェンは４番枠から五分には出たが二の足で見劣って後方に下げながらになる。緩い流れの地点で先手を打って向こう正面で一気に押し上げるロンスパを敢行、３角までには２列目の外まで取り付く。３～４角でも２頭分外の位置で我慢していてそのまま２列目で直線。しかし早々に甘くなるとＬ１まで下がっての９着完敗。まあタイプ的にこれを狙ったこと自体は良いと思うんだが、単純にこのロンスパでねじ伏せきれるほどのパフォーマンスはまだ見せてきていないんだよね、この馬。ジューンＳもＬ１の伸びがイマイチだったし、単に馬の能力がここではちょっと足りなかったとみるべきだと思うけどね。もちろん崩れたのはそれに見合った競馬ではなかったというのもあると思うけど、じゃあ流れに逆らわなかったら伸びたか？と言われると微妙。楽に動けたのは緩い地点で先手を打てたというのが大きいしね。Ｌ１はクランモンタナレベルでもかなり落としているから、この馬で見れば13秒台にはまず入ってしまっているわけで。このクラスでやるには正直武器が無いような気がするけどね。もうちょっと距離を延ばして前を取れるか、色々噛み合わないと。
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