2016年8月8日月曜日

スタートから馬を怒らせたのが一番の勝因

月曜恒例の重賞回顧を始めるよ。まずは、小倉記念だね。

クランモンタナは、スタートで勝負あった感じだね。調教でもモタつくところがあっただけに、悠長にジックリ構えていたら流れに乗れなかったはず。ペースが落ち着いたぶん、後ろからの競馬では余計にキツかっただろうしね。スタートから気合を入れて馬を怒らせて、積極的に前々で運んだのが一番の勝因でしょう。あれだけモタついていたあたり、いくら気合を入れていたとしても、ペースが速かったら前には行けなかったかも。そういった意味でもペースが落ち着いたのは、この馬にとってはラッキーだったと言えるんじゃないかな。それにしても、終始馬がトボけてズブさを出していたから、和田は1周ずっと追い通しで疲れただろうなぁ(笑)。少しでも諦めたら勝てなかったはずで、和田が頑張って乗っていたと思うよ。今回はうまくいったけど、ペース、時計が速くなったら厳しそうだから…。三千以上の長距離を使った方がいいと思うほどで、二千あたりのスピード勝負になったら分が悪いんじゃないかな。

ベルーフは、後ろからジックリ行っていたんだけど、ペースが落ち着いたのは痛かったね。4コーナーでかなり外を回る羽目になったうえに、直線では内の馬に寄られてさらに外へ振られる不利も痛かったよ。でも、ペースがペースで馬群が凝縮していただけに、内を狙えば前が詰まっていたかもしれない。後ろから行けばロスが生じたり不利を受けやすくなるもので、こればかりは仕方のないことだろう。まぁ、仕方のないこととはいえ、まともなら差し切れていたかも…という惜しい内容。小回りコースで1箇所だけ脚を使う競馬は合っているみたいだから、こういった競馬を続けていれば、展開ひとつでチャンスがあると思うよ。

エキストラエンドは、中団よりも後ろから。ペース的には位置取りがちょっと後ろ過ぎた感じだけど、内寄りを通ってロスを抑えつつ、1箇所だけ脚を使う競馬をしたのが良かったんだろうね。浜中が内枠を利して、うまく乗っていたんじゃないかな。1箇所だけ脚を使う競馬ができれば二千でも大丈夫そう…と言うよりも、年齢的にズブさが出てきている感じだから、今はこれぐらいあった方が競馬がしやすいのかもしれないね。

ダコールは、ペースが上がった3~4コーナーで一緒に動けなかったのが痛かった。ゴーサインを出して素早く反応できない馬だけに、今回のペースだともっと積極的に自分から動いて行った方が良かったんじゃないかな。それに、直線でエンジンが掛かる矢先で寄られる不利もあったし…。いずれにしても器用さに欠ける馬だから、ヨーイドンの競馬では厳しかったみたいだね。まぁ、いつも自分が力を出し切れる展開になるほど、そう競馬は甘くないということ。こればかりは仕方がないでしょう。

マーティンボロは、中団からの競馬で、3~4コーナーでは自分から前を捕まえに動いている。そこで外を回るロスがあったぶん、最後は前と同じような脚色になった感じだね。でも、勝ちに行っての結果だし、スムーズな競馬をして力は出し切れたはずだから、納得の5着だと思うけどな。

テイエムイナズマは、好位のインでジッとできていたし、直線でもうまい具合に前が開いてくれたんだけどなぁ。トビが大きいぶん、追って切れる脚を使えないクチだけに、溜めるだけ溜める競馬では良さが出ないみたいだね。フルキチ(古川吉騎手)は折り合いに専念して大事に乗ったのかもしれないけど…。ペースがペースだけに、もっと積極的に乗った方が良かったんじゃないかな。調教の動きからしてデキは良かったはずだから、ちょっと残念な競馬になってしまったね。

サトノラーゼンは、中団のインでジッとできていたのに、追ってからがサッパリ。流れが落ち着いたとはいえ、全然いいところが見られなかったよ。調教でも相変わらず力強さという点でイマイチだったから、おそらく体調面の問題でしょう。

メイショウナルトは、いいペースで逃げられていただけに、もっと頑張ってほしかったのが正直なところ。調教ではいい動きができても、あくまで5~6ハロン程度でのこと。競馬に行くと、その良さがまったく出せていないからなぁ。歳も歳だから、もう燃え尽きてしまったのかな…。

アングライフェンは、一番後ろから行っていたのに、向正面で一気に動く大雑把な競馬。いくらペースが遅かったにせよ、どうしてあんなに慌てて動く必要があるのかな…。まぁ、結果も出なかったことだし、次はまた違った競馬をしてくれるはず。そこでどういった走りをしてくれるか…といったところだね。



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