2017年2月28日火曜日

幸が最高の立ち回りを演じたトーキングドラム

最後に、大荒れだった阪急杯の回顧をしようか。

トーキングドラムは、ペースが速いぶん後ろからじっくり行って、直線の一か所だけ脚を使う競馬がハマった印象だね。道中もほとんどロスなく回れているから、最後にあのキレ味が出たんだろう。あんなにインをついて大丈夫かと心配したけど、幸は本当にうまい立ち回りをしているよ。ただ、正直今回は人気上位がだらしなかったことも追い風だったし、あんな追い込みは連続で何度も決まるもんじゃない。今後の重賞で続けて勝ち負けするほど能力があるとは思いづらいかな。

ヒルノデイバローは、トーキングドラムと同じで後方に構えて脚を溜められていたんだけど、直線で外に進路を取ったぶん最後は伸び負けたかな。とはいってもインに潜り込むスペースがあったわけじゃないし、フルキチ(古川吉騎手)の乗り方が悪いということはなかったと思う。この馬の競馬はできたわけだから、あとはもう勝負のアヤとしかいいようがないね。

ナガラオリオンは、最後方で脚を溜めて直線にかける競馬。前がばったり止まる流れだったからこそ馬券圏内に来れた感じだね。最初から最後までホントにスムーズに運べたのが良かったという感じ。正直、今後重賞でどうこうという感じはしないかな。追い切りを見ることができなかったから、何とも言いづらいところはあるんだけどね…。

ブラヴィッシモは、直線で前が詰まったことがすべて。あれがなければ3着には入れたでしょう。まずまずのスタートからスンナリ先行してたんだから、いつもの豊なら周囲の馬の動きを見てスムーズに進路を取るはずなんだけど、直線で右往左往していたあたり、本来の彼らしい競馬じゃなかった。まあ競馬は生き物だから、そういうこともあるのだけれどね。今回はたまたま運がなかっただけで、悲観する内容ではないと思うよ。

メドウラークは、上位の人気薄の馬と同じで、後方待機策が流れとマッチした上での好走。正直馬の強さ自体は感じなかったな。今後に繋がるという印象もあまりないね。

シュウジは、道中でほとんどケンカみたいになっちゃってるから、惨敗でもしょうがないね。4コーナーに差しかかった時にすでに手応えが怪しくなっているし、あれで最後に伸びてくるならそれこそGIを何個も取れているよ。直線までにあそこまで消耗してしまっては、重賞レベルではどうしようもない。逆に、この敗戦があとに響くかというと、そんなことはないと思う。もともと崩れると脆いタイプではあるしね。落ち着いて自分の競馬ができれば、巻き返しは十分可能でしょう。


see more info at 元騎手・坂井千明の乗り役流儀~騎手にしかわからないことが、ある。~