続いて京都記念の回顧だね。
ラブリーデイは2番手に付ける積極策。キズナ、ハープスターを相手にヨーイドンの瞬発力勝負になったら苦しいのは明らかだから、2頭よりも前で運んで早め早めの競馬をしたのが良かったんだろう。ペースも落ち着いた分、終始楽に行けたし、この馬とすれば最高の競馬ができたんじゃないかな。能力で勝ったと言うよりも、力を出し切れる形に持って行った戸崎の好騎乗によるところが大きいね。ただ、最高の競馬ができた割には直線で抜け出すのに手こずって、最後もギリギリ交わしたといった感じだったから…。重賞を連勝したあたり、ここに来て力を付けているのは確かだけど、GⅠではそう甘くないだろうね。
スズカデヴィアスは積極的にハナを奪って、道中もうまくペースを落としている。理想的な逃げが打てても最後交わされたんだから、今回は勝った馬を素直に褒めるべきだろうね。まぁ、ゴール前までラブリーデイを苦しめていたように、スンナリ先行できれば相当しぶとい。積極的に前々で運んで、しぶとさを生かす競馬が現状ではベストじゃないかな。
キズナは、いつも通り後ろからジックリ行っていたね。これがこの馬本来の形だし、骨折休養明けで、成長分があるにしても一気に22キロも馬体が増えていたとあって、余計に(武)豊は大事に乗ったんだろう。この馬とすれば早めの仕掛けで3コーナーあたりから動いていたんだけど、ペースが遅かったんだから当然のこと。1~2着馬は前で楽をしていただけに、差し切れなかったのは仕方がないと思うよ。それでも、全く展開が合わなくても最速の上がりで3着に来るあたりはさすがダービー馬。走りを見ても骨折した箇所をかばうようなところもなかったし、休み明けとすれば最高の競馬ができたんじゃないかな。今回の反動さえ出なければ、次は勝ち負けになるでしょう。
レッドデイヴィスは好位3番手からで、この馬とすれば前めのポジション。最後までしぶとく粘ってはいたけど、他馬が動いた3~4コーナーで一緒に動けないんだから物足りないなぁ。スローペースで楽をしていただけに余計にね。まぁ、休み明けを使いつつ、徐々に良くなっている感じはあるから、もう少しメンバーが軽くなればチャンスはあるんじゃないかな。
ハープスターは中団からの競馬。ただ、4コーナーの時点で既に手応えが怪しかったね。道中は折り合いもついて内にササッているようには見えなかったし、直線でも内へモタれたと言うよりも、前が詰まるのを察知して川田が内へ持って行った時に、手前を替えたからモタれたように見えただけ。その辺は気にならなかったけど、本来の伸びがなく、この馬らしさが全く見られなかったのは確か。調教の動きも良かっただけに、正直よく分からないよ。
ハギノハイブリッドは、好位3~4番手で流れに乗れていたんだけど、終いはサッパリ伸びなかったなぁ。道中でハミを噛んでいたにしても、乗り役とケンカになるほどでもない。いつもより前で競馬をしたとはいえ、このスローペースでバタバタになるようじゃ、どうしようもないだろう。調教の動きからしてデキは良かったと思うし、この馬の敗因もちょっと分からないね。
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